東京・池袋に集結したニコニコユーザーたちがカウントダウンを始める。0になると同時に、ドワンゴ取締役や豊島区長、そしてラスボスこと小林幸子さんが一斉にテープカット。10月25日午前11時、新しい「ニコニコ本社」が池袋P'PARCOの地下1・2階にグランドオープンした。
オープニングセレモニーにはドワンゴ取締役・夏野剛さん、豊島区長・高野之夫さん、パルコ常務執行役・泉水隆さん、小林さんが登場。新たなニコニコ本社にはカフェやサテライトスタジオといった一般人も楽しめる施設もあるため、初日から入場したい多くのニコニコユーザーたちが集まった。登壇者たちを「さっちゃーん！」「くちょーっ！」とはやしまくる。
小林さんは快晴の空を見上げて、「お天気がよくてよかったですねー。わたし、晴れ女なんです」とにっこりする。気になる衣装は黒い着物。式典の場なので落ち着いたコーディネートなのかと思いきや、腰から下の模様をよく見てみると、ルネサンス期の宗教画みたいなタッチで空飛ぶ天使たちが描かれている！ ラスボス感は欠かせません。
2013年7月には東銀座「歌舞伎座タワー」にも新オフィスを開くなど、業務拡大のたびに話題をつくってきたドワンゴ。夏野さんが「またやっちゃいましたね」と顔をしかめると会場からどっと笑いが。費用は原宿以上だったという新たなニコニコ本社が開設できたことを「みなさまのお陰で」と感謝、「パルコさんにお金を払い続けられる限りこちらにお世話になりますのでよろしくお願いします！」とジョーク交えてあいさつした。
みんなのカウントダウンに合わせて登壇者がテープカットをすると歓声と拍手が。セレモニーのニコニコ生放送画面にはコメントの弾幕が虹色に流れ、華やかなグランドオープンとなった。
セレモニー後は小林さんのボカロ曲カバーアルバム「さちさちにしてあげる♪」の即売会も実施された。開始直前には70人ほどが列をなし、遠方からだと愛知県から来た人も。先頭のニコ生主「jetだよ」さんは朝6時から並んでいたらしく、「ニコニコのカウントダウンイベントで小林幸子さんと生通話したとき、その柔らかさと優しさに触れてからずっとファンです。面と向かって会いたくてやって来ました」とニコニコをきっかけに小林さんが好きになったと話す。
販売が始まると、購入者一人ずつに笑顔で握手しながら三、四言ほど言葉を交わし、CDを手渡し。「この子結婚したんですって！ おめでとう」と結婚報告したファンをその場でみんなで祝ったり、「あなたも夏コミで並んで買えなかった子！？ 前はごめんなさいね、また来てくださってありがとうございます」と感謝の言葉を述べたりと、持ち前の愛嬌と親しみやすさでファンを笑顔にしていた。
またこの日池袋では街にコスプレイヤーが集まる「池袋ハロウィンコスプレフェス」も初開催。実行委員長である高野区長、運営制作団体であるドワンゴ取締役CCO・横澤大輔さん、アニメイト代表取締役社長・阪下實さんも、一緒に盛り上げようとコスプレ姿でJR池袋駅東口前の広場に登場した。駅から横断歩道を渡ってくる「サイボーグ009」島村ジョーのコスプレイヤーが、高野区長だと気づいてざわつく取材陣。
「豊島区は今やアニメの聖地。アニメの原点はマンガ、マンガの原点はトキワ荘ということで、トキワ荘メンバー・石ノ森章太郎さんの『サイボーグ009』のコスプレをしてみました」と高野区長。首元の黄色いスカーフに針金をしこんで風になびく形を保つなど、初のコスプレに「自分自身では満足」だそうだ。
池袋ハロウィンコスプレフェスは、池袋をクールジャパンの聖地とすべく、ドワンゴやアニメイトといったコンテンツ発信に関わる企業と豊島区が2年以上かけて準備してきたイベント。高野区長は「池袋をコスプレイヤーが明るく楽しめる街にしたいという想いが、本日花開いたと思います。ドワンゴさんやアニメイトさん、街にやってくる若い人たちみんなと力を合わせて、国際アート・カルチャーの都市て発展していきたい」と語った。
横澤さんはニコニコ本社オープンについて、「ドワンゴではリアルとネットそれぞれの良さを融合して、新しいエンターテイメントを作ってきました。その集大成がニコニコ超会議でしたが、あれはスポットのイベント。365日みなさんが集まって表現できる場所という意味で池袋に本社を立ち上げました」とコメント。池袋の人々に向けて、「池袋全体からカルチャーを発信していく力をもつためにも、豊島区行政、アニメイトさんなどあらゆる人とスクラムを組みたい」と協力を誓った。
（黒木貴啓）
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