「今日は誰でもお持ち帰りできるぞー!」──7月8日の深夜1時過ぎ、東京・六本木のとあるバーで高揚して叫ぶ男性がいた。190センチ近くある長身と厚い胸板、日米ハーフらしい端正な顔立ちの男性は、広島カープの九里亜蓮投手(25)。その隣にいたのは広島の“新エース”の呼び声高い後輩の薮田和樹投手(24)だ。個室に陣取った2人は美女4人に囲まれ、白ワインやテキーラを浴びるように飲んでいたが、その目は熱投の余韻を引きずるかのようにギラギラ燃えていたという。
その数時間前、セ・リーグの首位を快走する広島は、神宮球場でヤクルトに8―2で圧勝。薮田はその試合で、今シーズン8勝目を上げた。15日のオールスターゲーム第2戦では8回から登板し、1回をわずか8球で無安打無失点に抑える堂々の球宴デビューを遂げた。
一方の九里は5月まで先発で4勝。その後は中継ぎに回るも大事な場面で試合を任され、緒方孝市監督の信頼は厚い。高校、大学の先輩・後輩の間柄でもある2人は、いずれもカープの将来を背負って立つと言われる若手イケメン投手だ。
そんな2人はプライベートも充実している。薮田は5月にモデルと結婚したばかり。九里も昨年4月に一般女性と結婚している。
だが、ここは彼らの地元・広島から遠く離れた東京。新妻の目も届かない“延長戦”は、試合以上に白熱した展開を見せた。店に居合わせた客が話す。
「お酒が運ばれるたびに女性が『ストラーイクッ!』と叫ぶ掛け声が個室の外にまで響き、とにかく盛り上がっていました。個室ではカラオケも歌えるのですが、薮田さんは得意のコブクロなどでプロ並みの歌唱力を披露し、女性陣から『うまーい!』『声があま〜い!』と歓声が上がっていました」
美声でカウントを稼ぐ薮田に対し、九里は大胆な配球を見せる。
深夜2時過ぎ、浜崎あゆみ似の金髪女性を店の外に連れ出したのである。約15分後、2人は寄り添って店内に戻っていった。
九里は何度も個室から出ては、店員に「あの金髪の子が可愛くてヤバイ! 俺と同じハーフなんだって」などとはしゃいだかと思えば、「この酒のペースはヤバイ。お持ち帰りしたいよ〜。コーラちょうだい」とカウンターに突っ伏したりしていたという。
かなり酔っていた様子の九里だが、その後、「もっと飲ませるしかない!」と店員に宣言。テキーラのショットグラスを手に持ち個室に戻っていった。
九里がビーンボールも交えた多彩な変化球を繰り出す一方、薮田はほとんど個室から出てこない。先のオールスターでは全球ストレート勝負した薮田は、この日も得意のカラオケ一本で勝負する“エースの風格”を見せていた。
午前4時頃、薮田を個室の外へ連れ出した九里が勝負に出た。
「九里さんが薮田さんに、『あの金髪の子が一番テクニックありそうだなぁ……今日はぶっちゃけ全員いける。誰でも持ち帰れるって。でも、俺は金髪がいいなぁ』と、自分が狙っている女性が誰かを伝えている様子でした。しかし薮田さんに意図が伝わらなかったのか、その後も九里さんは『お前、新婚生活はどうなんだよ? 楽しいんだろ?』と薮田さんにプレッシャーを掛け続けていました」(前出の客)
中継ぎ投手の九里が“継投”を持ちかけても、薮田はマウンドを譲らない。そんなチーム内競争が続いた。
結局、4時半頃に九里と薮田はタクシーに乗り込み、女性陣に見送られながら店を後にした。延長戦は引き分けか……と思いきや、“試合”は終わっていなかった。
2人が宿泊先のホテルに入った約20分後、別れたはずの金髪美女がホテルに入っていったのである。
深夜の粘投が実り、“延長サヨナラ勝ち”したのはどちらの選手なのか。この日の飲み会について広島カープ広報部に聞いた。
「本人たちに確認したところ、『飲み会には呼ばれて参加しました。ホテルには2人で帰り、女性はきていません』と話しています」
飲み会明けのヤクルト戦(9日)も延長までもつれ込み、最終回の12回に九里がリリーフ登板。三者凡退に切って取り、引き分けに持ち込んだ。
このパワフルさは前夜の“勝利”の勢いなのか、鬱憤晴らしなのかはわからないが、カープの若鯉軍団はグラウンドの中でも外でも絶好調のようだ。
※週刊ポスト2017年8月4日号
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