今日(11月30日)の日経新聞朝刊一面トップは「中国高齢化、巨大市場に」だった。介護サービス最大手のニチイ学館や認知症治療薬を販売しているエーザイが急速に高齢化が進む中国市場への進出を加速しているという話だ。
記事によると、中国の60歳以上の人口は約2.1億人で全体の15.5%を占める。現在のところ現役世代(15-59歳)5人で高齢者(60歳以上)1人を支えている構造だが、25年後の2040年には現役世代2人で高齢者1人を支える構造になると言われている。
中国社会が「豊かになる前に高齢化する」未富先老に陥る可能性は高い。
中国の高齢者の数は2億人と巨大だが、日本企業の商品・サービスを購入し、快適な老後を送ることができる人は極めて限られているはずだ。中国の多くの高齢者は貧困・身体の病気・うつ病等に悩んでいると言われている。
中国の社会が抱える最大の問題は、高齢化した貧困層の問題だろう。
日本の場合、就労(15-64歳)年齢人口は過去10年間に8%減少しているが、高齢者と女性の就業増加で労働力全体の減少は1%に留まっている。
しかし中国では60歳以上の人で働いている人の比率は極めて低いようだ。
日本では最近「アンチエイジングからスマートエイジングへ」ということが提唱され始めている(高齢者を対象にした概念なのに英語で表現するのはどうか?と思うが、「老化防止から成熟へ」と日本語に訳してももう一つピンとこないので、ここでもスマートエイジングという言葉を使うことにする)。
スマートエイジングについて私は「賢く年を取る・加齢を慫慂と受け止め前を向いて生きる」と理解している。
もし日本がスマートエイジングというコンセプトで高齢化を乗り切っていくことができれば、世界に一つのモデルを示すことができるだろう。
そして中国に輸出するべきは、介護サービスや医薬品・介護用品といった個品ではなく、スマートエイジングというモデルなのかもしれない、と思う。
go to source