既に報道されている通り、来る平成31年は4月30日で終了、5月1日からは天皇陛下の代替わりに伴い、新しい元号が用いられます。今回は、日本の長い歴史と共に使われ続けてきた元号について、知っていると鼻が高い(かも)?トリビアについて紹介します。
元号のトリビア1:元号は日本だけが伝承している文化
世界初の元号制度は、紀元前115年ごろ、チャイナ大陸で前漢朝(紀元前206年〜西暦8年)の武帝が定めた「建元」という元号と言われています。
その後、東アジアを中心に用いられてきましたが、やがて西暦にとって代わられていき、1945年にベトナムが元号を廃止した事によって、現代では、日本だけが元号を伝承しています。
元号のトリビア2:最長の元号は、昭和の64年
大化から平成30年までの1373年間、247の元号が使われてきましたが、その多くは平均5年前後で改元される事が多く、20年以上続いた元号は今日までで12例しかありません。その中で昭和の64年は驚異的な長さであると共に、世界的な大事件や、日本にとっても過酷な試練が続いたなど、多くの世代にとって感慨深い時代と言えるでしょう。
ちなみに、平成の31年は歴代4位(2位は明治の45年、3位は応永の35年)、最短の元号は暦仁の74日です。74日で新元号に変わるなんて、何だかとても慌ただしそうですね。
元号のトリビア3:今まで元号に使われている漢字はたった72文字
これまで247の元号が使われた中で、さぞや多くの漢字が組み合わせられたものと思いますが、重複を除くと、実際に使われたのは72文字。しかも、その内の21文字は10回以上繰り返し使われているのが判ります。
最も多く使われた漢字は「永」が29回、「天」と「元」が27回。世が永く平和に続くこと、天意にかなう政治の元(はじめ)を望む人々の想いが伝わるようです。
ちなみに、「平」はこれまで12回、「成」はこれまで1回(平成のみに)使われています。
元号のトリビア4:他国と「かぶって」しまった元号も
ベトナム・フエの王宮。天慶は後陳朝で最後の元号となった。
先ほど、元号は広く東アジアで使われてきた事を紹介してきましたが、漢字の組み合わせなので、時代は違いますが他国とかぶってしまう事もたまにあります。
これまで他国とかぶってしまった元号は37ありますが、その中でも最も多くの国とかぶった「天慶」は、日本(938年〜947年)以外に興遼(1029年〜1030年)、遼(1111年〜1120年)、西夏(1194年〜1206年)、後陳朝ベトナム(1426年〜1428年)の5か国で採用。
天が慶(よろこ)ぶような政治・社会は、いつの世も、どこの国でもみんなの願いですね。
元号のトリビア5:元号は独立国家の象徴
かつて日本が倭国などと呼ばれていた時代、多くの国がチャイナ王朝の元号を使っていましたが、それは「服従の証」でした。
古代よりチャイナでは、独立宣言を行った反逆者がまず着手する事業の一つに、元号の制定がありますが、元号を自分で決める事は、国家元首の特権であり、独立国家の象徴だったのです。
日本では皇極天皇四(西暦645)年6月19日に即位された第36代孝徳天皇によって「大化」という元号が定められたのが最古と伝わっています。
それはまさに倭国が律令制度をはじめとする国家の形づくりに対する意気込みであり、日本がもう「チャイナの奴隷じゃない、対等の国家」である事の宣言に他なりません。
先人たちの誇りと繁栄の願いが込められた元号文化を、私たちも大切にしていきたいですね。
※参考文献:歴史と元号研究会『由来と意味がよくわかる 日本の元号 平成から大化まで』
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